名古屋地方裁判所 昭和43年(ワ)857号・昭41年(ワ)3507号・昭42年(ワ)3445号 判決
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〔判決理由〕請求原因二、の(三)のうち、A車に「日本ハイバック」という文字が記入されていたことは当事者間に争いがない。
<証拠>並に右争いのない事実を綜合すれば、つぎの事実が認められる。
熱田商店は、本件事故当時、無免許で自動車運送業を営んでいた。当時、同商店が所有していた自動車は、六トン積の大型貨物自動車が二台、二トン積の貨物自動車が八台であつた。従業員は、運転手と運転助手を合せて一五―一六人であつた。これ等一〇台の自動車は殆どが日本ハイバックから委託された段ボールの運送に従事していた。即ち、これら一〇台の自動車は毎朝日本ハイバックの工場に全車が出向き、その運転手が製品課の配車係へ行つて、積荷の種類、数量、行先を示した積載指令書を貰い、製品を積込んで、送り状と共に日本ハイバックの得意先に運送していた。もつとも、日本ハイバックに運送の仕事のないときもあつて、その場合は同社以外の荷物を運送することもあつたが、そのような場合は、当日になつてからの注文であるから、いつでもという訳ではなかつた。このようにして日本ハイバックから熱田商店に支払われる運送費は月額金一八〇万円内外になつていた。熱田商店では、本件事故の一年前頃より、日本ハイバックの会社側から右のように同社の製品を運送する貨物自動車の車体に「日本ハイバック」という文字と、紺・黄・白・藍の色彩を用いた斉一の塗装を求められ、その後、新車購入、車検の都度にそれを実施して、本件事故当時には六台が右のような文字の表示、塗装をしていた。本件のA車はその一台であつた。日本ハイバックは、本件事故当時、資本金一億三、五〇〇万円愛知県春日井市に本社と名古屋工場を、そのほかに恩邦工場、松本工場、東京工場、東京営業所を有して段ボールの製造販売を主たる営業目的としている株式会社であつたが、会社自体には運送用の貨物自動車はなく、右名古屋工場には熱田商店以外に春日井運輸、三橋陸運、丸富運輸、岡田運輸等の自動車も出入りしていて、これらの自動車が日本ハイバック名古屋工場の運送の用を果していた。
以上の事実が認められる。
右認定の事実によれば、これを客観的・外形的に見るときには、熱田商店は日本ハイバックから専属的に段ボール製品運送の業務を委託されていたもので、本件A車は日本ハイバックの運行支配に属し、その運行利益を享受していたものというに妨げなく、自賠法第三条にいうところの、同社のために運行の用に供されていたものと認めるのが相当である。そしてまた、本件事故は、日本ハイバックの事業の執行について生じたものと認めるのが相当である。
そうすれば、日本ハイバックは、自賠法第三条、民法第七一五条第一項により、本件事故に基づく各法条所定の損害を賠償すべき義務があるといわなければならない。
(西川力一 藤井俊彦 柄多貞介)